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2006年5月28日 (日曜日)

スポーツシンポジウムに参加して

今日はお昼から都内で開催された「日本のスポーツの未来とクラブの役割」というスポーツシンポジウムに参加した。夕方からフットサルがあったので、最後のセッションを前に抜けてしまったが、それまでの2つのセッションの内容をレポートしたい。

基調講演「ドイツのクラブを取り巻く問題点と解決策」
               ~ギュンター・フランツェン
                      (ドイツオリンピックスポーツ連盟ドイツスポーツユーゲント副本部長)

フランツェン氏がドイツのスポーツクラブの現状や課題を講演してくれた。ドイツには日本で言うところの「統合型地域スポーツクラブ」というものが、全国に90,000以上ある。そして日本と違い、ドイツオリンピックスポーツ連盟を頂点とした、しっかりとした組織ができあがっていて、国はもちろん、州や地区、市町村、郡などからきっちりとしたサポートを受けている。

行政からのサポートを受けてはいるものも、基本的にはスポーツクラブは自立を求められている。管理、運営、指導などのスタッフのうち約40%が専従の(報酬をもらっている)スタッフだが、60%がボランティアによって成り立っている。また自立という点では、各クラブに存在する青少年分野にもあてはまるらしい。

財政面では、行政からの支援も当然ながら受けている。国際的な活動は国から、また指導者の養成・教育は州から財政的に支援される。スポーツ施設の提供も受けている。67.7%のクラブが市町村のスポーツ施設を使用し、内27.5%が施設を無料で利用している。そして青少年のための予算は、スポーツクラブに対するものと別枠で各市町村が設定しているらしい。

そもそもドイツでは、行政レベルでのスポーツに対する理解が深い。クラブの活躍が観光資源になること、市民の健康増進に寄与すること(医療費削減、医療施設の減少)、また青少年活動の活性化につとめ、共同体意識の開発に努めてくれていることなど、スポーツクラブの存在が市町村など行政にもメリットがあるという価値観が浸透しているのだ。

もちろん課題もある。やはりいちばんはクラブの財政的な問題。ボランティアの数の不足など人的リソースの問題。また会員数の確保などが紹介された。ただ基本的にはスポーツが市民の生活には必要という認識が、一般の人々のみならず市町村、行政など公的な機関も浸透しているため、スポーツクラブの課題が政治的な課題としてもとりあげられることだろう。とはいっても、制度設計の段階で日本とは大きな違いがある、これに尽きるような気もする。

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なお、ドイツのスポーツクラブに関しては、「Jリーグの挑戦とNFLの軌跡―スポーツ文化の創造とブランド・マネジメント」に詳しく掲載されている。

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コメント

欧州の国というのはスポーツに限らず文化に対して
みんなで育てようという気持ちがしっかりしているような
イメージがあるのですが、制度的にも保護育成に
力が注げるようなものがあるのですね。

どうもそのあたりがまだまだ日本は後進国のような気がします。
大阪時代、ご存知のように大阪府はとても貧乏。
で、まずカットされたのが文化施設の経営。
ウチの娘は吹奏楽だったので、影響を受けたのは
コンサートホールでした。
民間委託といえば聞こえがいいですが、どれも赤字覚悟で
やっていたわけで、結局壊されてしまったんじゃないかと
心配です。もし続いていたとしても、お金のない中学生などには
使えないような施設になっちゃんたじゃないでしょうか。

ドイツのような意識改革が大事なのかもしれないですね。

投稿: ぴあの | 2006年5月29日 (月曜日) 19:51

ぴあのさん、ありがとうございます。

まず欧州ではスポーツを文化としてとらえているという
大きな違いがあると思いますが、いずれにしても欧州で
は文化に対するリスペクトは日本と全然違うようですね。

ルネッサンス時代に欧州で爆発的に芸術作品が誕生した
のも、芸術家に対してとんでもないパトロンがついてい
たから。金持ちのエゴもあるのでしょうが、
そんなバックアップがあったからあれだけ美しいものを
後世の人々も享受できている。

スポーツにしても芸術にしても人間にとって必要なもの。
それを守るためには我々一般市民だけでなく、行政の
力も絶対に必要と思います。

投稿: motti | 2006年5月30日 (火曜日) 00:32

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